NETの特性からみた活用の可能性
NETの特性
・NETは短期療法で終了時期が比較的予想しやすいため、治療パッケージとしての適性があります。
・NETで行う自伝的記憶の整理は、自我機能を強め、精神的健康をもたらします。
・NET作業の中で、言語化能力と感情調整能力が向上し、対人関係スキルが獲得されます。
・自分の体験や感情をじっくりと、共感的・集中的に聴いてもらうという作業は、逆境的な環境で得にくい愛着補償的な体験と言えます。
こんな場面での活用が期待されます。
■矯正施設で
加害者は被害者でもあることも多く、更生にはトラウマを癒す必要があることが、少年兵の治療施設などでの研究から分かってきています。これはいじめの加害側にも必要と考えられます。
■リワークプログラムの中で
うつで休職を繰り返す方の中には、過去にトラウマ体験の累積がみられることがあります。トラウマ焦点化認知行動療法を用いることで、速やかな回復が期待できます。
■消防・警察・自衛隊など
職務上トラウマを負いやすい、惨事ストレスによる離職が多い職場では、トラウマの心理療法が有効です。短期療法でエビデンスあるNETは導入しやすい技法と考えます。
■ウェルビーイングを目指す方へ
WHOの健康の定義にもあるように、精神疾患がなければ幸福、とは言えません。健康な方がよりよく生きるために、自伝的記憶を整理し、自我を強化し、人生の意味の再構築を行うNETは役に立ちます。
■社会人になる前の高校生・大学生に
トラウマ記憶のために学業や就職活動に実力を発揮できない人が多くいます。社会に出る前に人生の重荷を下ろすことで、その後の人生を豊かにできます。特に養育のトラウマには、経済的に自立して行くことができるこの時期が、取り組む適期と考えられます。
■災害時の被災者、支援者支援に
災害時に同時多発するPTSDは、自然回復するものが多いですが、中長期にこじれていくものもあり、周囲の家族や支援者も同様のトラウマ的傷つきを負います。支援者支援は特に重要と言えます。
NET Japanはこうした取り組みのご相談に乗り、またエビデンスを蓄積する学術活動も進めて、よりよい社会の実現に貢献したいと考えています。また、心理療法の普及のみならず、トラウマの視点をいかした啓発活動、予防的な研修の実施も大切な活動の一つと考えています。